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東アジア鰻資源協議会のシラスウナギ資源調査に支援と協力を行います!
つい先日、東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授らの研究チームが、日本から約2,000q南にある太平洋・マリアナ諸島西方沖で、天然のニホンウナギの卵31個を発見したとのニュースがテレビ・新聞等で大きく報道されました。1970年代に始まった息の長い調査で、しかも広い海の中で一回の航海で調べられる海水の量は東京ドーム2杯分だけという真に雲を掴むような条件で、36時間しか卵の期間をもたないニホンウナギをプランクトン用の網の中に収められたのは天文学的な確率とのことで、これは2月1日(現地時間)、世界的に権威のある英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表され、ウナギの養殖技術の促進やウナギの保全と国際管理の科学的根拠になるものと大きな期待と賞賛が寄せられているとのことであります。実は、塚本教授には当NPOの顧問になっていただいており、ウナギに関する様々な知見や助言を仰いでいるところで、特に2008年10月には塚本教授のご尽力で宮崎市で世界ウナギシンポジウム宮崎大会を開催いたしたところです。本内容は当ホームページで公開をいたしております。そのような関係で当NPOとしても大変感激をいたしているところです。そのような中、塚本教授が会長を務められている東アジア鰻資源協議会が資源の保全と増殖を図るための調査を実施していくとの計画が打ち出され、この調査に当NPOも参加して全面的な協力と支援を行っていくこととしました。東アジア鰻資源協議会は東アジア(中国、韓国、台湾、日本)のウナギの研究者とウナギに関係する業界団体が構成メンバーとなっております。その中で、ウナギ資源の保護、管理、増殖対策が緊急かつ重要であるとのことで、4カ国にそれぞれ1〜3河川の「ウナギ川」を選定して、その川に加入するシラスウナギの試験採捕を実施し、ウナギの“サンクチュアリー”を作ることになりました。加入量の月変動、年変動のモニタリングを息の長い調査で明らかにし、これらを公表してウナギ資源の保全に資していくこととされました。日本では、神奈川県の相模川と本県延岡市の沖田川の2つの河川で実施していくこととなりました。宮崎は全国第3位の養殖ウナギの生産量を誇っています。県内の各河川が日向灘に面しておりシラスウナギの来遊量も他県に比べて比較的多いといった自然環境にあります。この調査は、短期間で終わるものでなく、ウナギの産卵場所の調査や天然ウナギの卵の発見同様、長い年月と辛抱強い調査の繰り返しが求められます。調査の繰り返しとデーター分析の中に、思わぬウナギの謎が解き明かされ新たな事実が公表されるかも知れません。夢と希望のある調査の一翼をこれから担って行くことを考えると調査にもつい力が入ってくるのを覚えます。写真は採捕の様子。(文責:田中義久)
[2011年02月07日]