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ポップアップタグによるニホンウナギの産卵回遊経路が解明されました!
ニホンウナギの産卵回遊経路を調査することで、昨年12月22日(火)に日向市の小倉ヶ浜から銀ウナギ3尾を放流しました。その放流の結果がまとまり、昨日4日(月)に国際うなぎラボ所長の塚本勝巳日本大学教授からマスコミに発表いたしました。放流された親ウナギは、日向灘沖を北上する黒潮を利用して、産卵回遊することが突き止められました。また、海洋の200〜800m程度の中深層を遊泳し、明瞭な日周鉛直移動を行うことや回遊中に捕食者に遭遇することが多いことなどが確認されました。放流した3尾の回遊経路を見てみると、1尾(C)は、放流して間もなく放流地点からあまり離れていない日向灘沿岸で浮上しております。おそらく捕食者(マグロやサメなどの大きな魚類)に襲われたものと考えられます。また1尾(B)は、土佐湾沖の黒潮沿いの地点に浮上しました。移動距離は約200kmでした。また1尾(A)は、八丈島の西方沖まで達しております。これは、日向灘沖から豊後水道を出て黒潮に当たり、これに乗って一旦北上した後、北緯32度付近まで黒潮を横断しつつ南下して八丈島沖に達したものと考えられます。これまで親ウナギの産卵回遊経路については、降海した河口から一直線に産卵場を目指す説や、黒潮の下をくぐり抜ける説、あるいは黒潮と北赤道海流を遡るなど諸説ありましたが、今回の結果から放流されたウナギは黒潮に沿って一旦北上し、その後南下して産卵場を目指す可能性が高いことが示されました。今回の調査結果は、ニホンウナギの生態学的知見を増大させるだけでなく、資源管理や完全養殖技術の開発研究に大いに役立つ基礎知見を提供することができたものと存じます。国際うなぎラボはウナギの不思議解明のため新たな調査研究に果敢に挑戦していきます。(文責:田中義久)
[2016年04月06日]