古代エジプト人(紀元前3000〜343年)はウナギを神の化身としてあがめ,古代ギリシャ人(紀元前776〜323年)はウナギを神に捧げ,ウナギの味に強く魅かれた古代ローマ人(紀元前753〜紀元476年)は養殖を開始した。当時から北イタリアのコマッキオ渓谷(Valli di Comacchio)ではウナギ漁業が盛んであり,地元の日常的な食料として,また観光客向けの料理として消費されて来た。しかしながら現在,いたるところでヨーロッパウナギ資源は減少しており,産業としての漁業は持続不可能となっている。我々は数学的モデルを用いて,産業としてのウナギ漁業の管理方策が開発可能であることを示す。現在の混乱は,サイズの小さいウナギの過剰な漁獲によって生じている。小さいウナギは市場価値が高いが,このことによって説明できるのは小さいウナギに対する過剰な漁獲圧の一部のみである。ウナギの資源保全と経済効率の両方を損なっている「漁業者のジレンマ」(漁獲競争)を考慮することによって,漁業者の行動を完全に理解することが可能になる。
世界ウナギシンポジウム宮崎大会
キーワード:ヨーロッパウナギ 個体群統計学的モデル 漁業者のジレンマ
Daniel Bevacqua(ダニエル・ヴェヴァクア) 国籍:イタリア 性別:男
Daniel Bevacqua(ダニエル・ヴェヴァクア)プロフィール
ウナギの個体群動態のモデル研究で世界をリードするイタリアパルマ大学のDeLeo教授の下で研究する新進気鋭のウナギ研究者。