世界ウナギシンポジウム宮崎大会

フランスにおけるウナギの資源保全と研究

Sylvie Dufour(シルビー・デュフォー) 国籍:フランス 性別:女

フランスでは国立自然史博物館のモーリス・フォンテーン教授によって1936年にウナギの人工催熟が開始されて以来,現在に至る長いウナギ研究の歴史がある。フォンテーン教授は妊娠した女性の尿抽出物(のちにhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を含むことが分かる)を注入することによって,雄のヨーロッパウナギの精子形成に成功した。しかしながら,この手法は雌のウナギには不十分であった。1964年にフォンテーン教授は,コイの下垂体抽出物の注入によって雌のウナギを性成熟させたことを発表した。これらの生殖腺の処理方法は現在でもすべての種のウナギに対して用いられている。最近のウナギ再生産に関する基礎的研究の目的は,ウナギの生殖腺ホルモンの生産制御メカニズムを明らかにすることである。ヨーロッパウナギの急激な減少により,ウナギの資源保全に強い関心が寄せられるようになったのは最近のことである。保全の動きによって,生態学,個体群動態学,行動学,生態生理学,内分泌学,環境毒物学など,領域横断的な研究チームの数が増加している。調査は資源量推定,再生産個体の特徴,回遊と定着のプロセスおよび水系の質(汚染の影響,回遊の障壁,生息域減少および劣化)も対象としている。漁業の制限,回遊ルートの復旧および生息域の回復に関する提案がなされている。

Sylvie Dufour(シルビー・デュフォー)プロフィール

フランス国立自然史博物館の動物学部門長・教授。長年ウナギの生理生態研究を続け、いまではウナギの内分泌学の大御所となっている。

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